ポリミック (Jeux pOlymiques)

ウェブ上およびインスタレーションでのインタラクティブマルチユーザー視
覚的装置、 2003年
サミュエル・ビャンキニ(Samuel Bianchini)

プログラミング: ウサマ・ミュバラク(Oussama Mubarak)
制作: Dispothèque
謝辞: エマニュエル・メオワ(Emmanuel Méhois)
Pour accéder à l’œuvre en ligne : http://polymic.dispotheque.org

 

 

ポリミック, サミュエル・ビャンキニ(Samuel Bianchini), 2003
「メンテナンス(Maintenance)」、個展、ヨーロッパ高等映像学校(École européenne supérieure de l’image)(ポワチエ、フランス)、2010 年5月4日-6月4日。 
写真撮影 : © Samuel Bianchini - ADAGP

 

 


《ポリミック(オリンピックのアナグラム)》はインターネット経由で共 有されるインタラクティブ画像である。これはカラフルで無秩序なモザイク の画像であり、そこに五輪マークというひとつの記号が出現する。世界的な 平和の祭典の国際的シンボルである連結された五つの輪、ここではその上に 炎が燃え盛っている。この表象は統制のとれた群衆によって形作られていて、 その群衆はオリンピック開会式典というイベントにふさわしい振付を実演する。 マウスでドラッグすると、画像上でこの人間モザイクが動き、痕跡を残し
て整列しなおす。画像はインターネット上で共有されているため、複数いる ユーザー各人が作ったアニメーションは全ユーザーに公開される。全員が画 像を動かすことができ、他のユーザーのとった行動を見ることもできる。
ユーザーが変わればアニメーションも変わる。画像は緩やかに変化してい き、変化を通じて構築され、同時に解体される。共有画像のなかで作り上げ られた振付に、さまざまなメンバーの操作、ネットワークで共有された動作 といった、画像の前のほかの集団的な動きが応答する。ユーザー同士の連 携は難しく、不可能にすら思われるが、五輪マークという普遍的なサインの 庇護のもとに連携が成就することもある。とはいうものの、ユーザーが個人 プレイの効果に目が眩み、画像に私的な印を描き、書きつけ、さらはサイン として残したいと思うこともある。目立ちたいという欲望と、集団的な努力 に協調しようという意志とのあいだで、つまり私的な印と、普遍的シンボル との間で、均衡はなかなか見つからない。